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店主中島の、習い事など趣味のページです。

2009年02月のよく遊べ
[過去のよく遊べ一覧]
●2009年02月25日(水)

     とにかく、ベストを選びたい!

 気っ風市の最中のあるお客様の言葉だ!
買い物をする上で、ほとんど何気にそういう意識は誰にでもある。
それは靴下を買うときでもだ。ぼくは、気に入る服を買うまで
すごく時間がかかる。下着を買い替えるために幾度も伊勢丹に
足を運ぶこともある。一度、気に入ればとことん着る!今日の格好も
3〜5年ものだ!
 そろそろ加齢臭も気になるお年頃なので、気をつけて洗濯はするが
とにかく、毎日同じ格好だ!自分の今にこれはベストだと思う。

 ベストを選びたい!とあらためて真剣に言われると、本当に
その責任の重さを思う。自分はこだわりと諦めが同時に存在する
タイプだと考える。ある意味、とても楽観主義で自分の目の前に
現れた事象は、すべて今の自分にとって、最良の事象なのだと
考えるタイプだ。故に最終的に絞り込んだ数点の着物のどれを
選ばれても、ここまで熟考したプロセスを経た着物と帯なのだから
どれを選ばれても間違いないと!思うのだが、本当のプロなら
これです!と言いきらなければならないかとも思う。

 最終的に着物が決まり、これから八掛と胴裏の色をどうしようか
というときに、これからが楽しい時間です!というお客様の
気持ちがとてもよく分かる。

 幸運なことに、なか志まやは、こうした素晴らしい日本と外国の
着物の着手をお相手させて頂いている。自分の表現の引き出しは
いまは、ここまで。でも明日にはきっと少し膨らむ。

 久々にある女優さんのドラマの衣装をやることにした。
商売的にはなんの利益も生まないと容易に想像つくけれど
独立してすぐに始めた着物の仕事が、ドラマの着物衣装の仕事だった
この女優さんも、衣装部が用意する着物ではなく
ベストなものを選びたいのだ。お客様とまったく変わりはない。

 なか志まや的打算とするなら、先日の日本アカデミー賞のような席で
この女優さんが、なか志まやの着物を着て出席することだ。
僕ならもっと素敵なものを着せてあげたい。それは出来るように
思う。女優さんは一流なので、極めて可能性が高い。そのときまで
いつでも、今はこれがベストです!と言い続けることができる
呉服屋でいないといけないと思う。彼女に、着物を着るなら
なか志まやがベストだと思わせたい、それが打算だ!

 

●2009年02月24日(火)

     想像もつかない創造


 半衿の取り替えを急いでして、納品するために彼の店へ出向く。
日本に居る間は、彼がその手腕をここで振るうのだ。日本に居るときは
着物バカンス!ともいう彼だが、仕事に対する真摯な姿が見れて
このお店も、ニューヨークの店もきっと素晴らしい店だと確信する
 午後の2時半頃、彼がご飯を食べて行きなさいと言ってくるので
その言葉に甘えて少し贅沢なランチを頂くことにした。ランチタイムも
終わりで、お客様もまばらな店内でメニューを眺めながら思う。

この食材とこの食材、このソースでいったいどんな味がするのだろ〜

まったく僕には想像できない!ラーメンと蕎麦と焼き肉と鮨、なにより
鰹だしと醤油と塩と味噌の味覚しかないと言いきれるこの脳と舌に
彼が考えるクリエィティブな味覚はまったく想像がつかない・・・

 前菜にサラダ、そしてメインなしのパスタをオーダーして待つ。

サラダを食べ終わり、パスタと共に彼が訪れる。店の方々もこの席に
集まって、おお〜すごいね〜と声をあげる。サラダもいままで
食べた事が無い味と食感が絶妙なバランスで量もあり大満足!
そして、このパスタ!見た目も美しく、今まで食べた事が無い
繊細さと食欲をそそるそのスパイスに驚く。彼自らの作品だ。
まさに想像もつかないものだった。

 彼のこだわりは、自分の仕事とおなじく着物にも向けられる。
仕事への情熱が、そのまま着物にも向けられている。
それも、アメリカ人の彼から。

 仕事をするとき、まず、その相手を思い浮かべる。
 そして喜んでもらえるには、どうすればいいのか考える。
 自分の引き出しの中で、なにがベストなのか
 それに全力を尽くしている

 彼をみていると、本当にこんな分かりきった事を思いださせくれる

●2009年02月20日(金)

    マンハッタンからのお客様 part2

 昨年11月末にご注文を頂いた着物一式を、今日は軽くご試着された。
初めて見る着物姿以外のカジュアルな洋装・・・まぁアメリカ人の彼に
とってはそれが当たり前なのだけれど、ニューヨーカーという姿が
僕にはとても新鮮だった。
 挨拶もそこそこに彼は服を脱いで、試着してみる!
呉服屋も緊張の一瞬だ・・・『パァーフェクト!』という僕にも分かる
言葉と彼の笑顔に胸を撫で下ろす。

 産地違いのお召、羽織はなか志まやの定番柄だけど、生地的には
仕立てが難しいタイプだ。そして一番気がかりだった着物の丈と羽織の衿。

 『一衣舎さん・・・パーフェクト!』

着物を着たまま彼は、『何か他におもしろいものありますか?』と
聞いてくるので、新作の男物を並べてみる。彼はそのブルーの目と
大きいけれど繊細な指で生地をチッェクしていく。
その仕草は、彼の仕事での様子をイメージさせる。美しいものを
見抜く目と手だと思う。

 前回の来店で、羽裏をデジタルで染める手法を説明していたので
彼はある一枚の日本画を持って来た。江戸時代の頃の絵だ!
こうなるとだんだんイメージが湧いてくる。かなり大きな動物と波頭
そして人物。羽裏は当然、額裏展開だから、一枚の絵から隠れて見えない
右、左の袖の中、そしてその絵柄のストーリを組み立てていく。
反物を見せるときと明らかに違うテンションで話す僕に、彼は
とてもおもしろがってくれた。自分でも分かるけれど、こんな羽裏なら
おもしろくない?ていうアイディアが涌いてくる!

 デジタルの羽裏は、2005『呉服なか志まや 西へ』という企画で
デザイナーの絵を羽裏に組み立てていくことを経験したけれど、久々に
またイマジネーションを掻き立ててくれる誂えだ。
 たまたま来店した芝ちゃんに、すぐに概要を説明する。彼女はすぐさま
絵を拡大したパターンを数種類用意し、彼にメインの柄の大きさを
実際の羽織にあてながら確認する。見事なプレゼンテーションだ。

 僕が思い描く羽裏のストーリーは、デザインではなく
少々の演出だと、このとき感じた。僕は確かに絵もちゃんと描けないし
デジタルデーターを扱うこともできない。やはり呉服屋は呉服屋・・・
なのだけれど、自分がいちばんエキサイトするところは
こういう衣装の演出なのだと、このとき凄く自覚する。

 様々なスタイリスト、コーディネイターと呼ばれる人がいて
いまでは、当たり前のようにキモノコンシェルジュという言葉まである。
誰が言い始めたかは、今では検証できないけれど、外人の彼にとっては
着物を着るという行為は、日本に滞在するときの彼の気分を演出する
重要なアイテムであり、彼が高額な金を払っても着物を着るという
行為にたして、日本人でありさらには呉服屋である僕は、自分の
力量以上の能力を発揮して最高のものを用意してあげないといけない!
それは、誰に対してでもそうだけれど、より自由に僕を使ってくれるなら
商売ではない仕事をしたい!と切に願う。

 彼がこだわるところは、なにか・・・今一度、思い起こしながら
彼へのセカンド着物を創りあげたいと思います。ファーストは
僕のスーツ的な着物という考え方の代表のようなものだ。
次は、さらに違う遊び心と色のコーディネイションの
絶妙さを、彼が思うように創り上げれれば、これは素晴らしい一枚に
なると思う。


*彼は仕立てに対して、凄いことを言われたので
 これはまた別の機会に書きます・・・今晩眠れるかな・・・


●2009年02月09日(月)

     『よく遊ばせていただきました。』


 昨年の秋の気っ風市に仕入れした、大胆な柄の小紋2点。
ひとつは、2008年9月の気っ風市の欄にでています『壇特』
もうひとつは、この牡丹でした。壇特にもまして大柄で力のある絵柄
なのですが、これが着物にし易いかはまた別問題です。

 大柄な小紋は、時々アンティークを真似たものなど今の市場でも
見受けますが、なにを血迷ったかなか志まやもこの2反を仕入れしました。
佐世保での一衣舎さんとの二人展で、こんなの仕立てるの嫌だよね〜!
なんて冗談で話し合ってると、お客様の熱い視線が・・・
私はこれを長羽織で着たい!とのことで、その場で反物を広げ
肩に掛け、柄のポイントを決めて出来上がりのイメージを、お客様と
仕立て屋との三者で検討しました。

 先日、一衣舎さんも個展の前でお忙しい中、
『いいもの見せてあげるよ!』と
電話を頂き、羽織の出来上がりを拝見してきました。

『・・・・見事です!』

絵柄は体型の補正といいますが、それはこの決められた空間の中に
美しく配置されて、尚かつそうであるべきだと思います。
絵羽の羽織ではない、この裁断の妙!
どこになにをどう配置するか!というのは、きっと茶の湯にも
通ずると思うのですが、まさに
『利休の手にかかると・・・』とあの当時の人々が
その審美眼にひれ伏したように、まさしくこの配置は妙!

 前の衿、マチの処など詳しくはお見せ出来ないのですが、見事としか
いいようがありません。佐世保のお客様が喜ばれる顔が目に浮かぶようです。
『いやいや、遊ばせていただきました』
ん〜厳しい呉服業界のまっただ中の自分に、ある意味本物の『遊職接近』
を見せられたようで、格の違いを感じました。

 まだまだ、僕の『よく遊べ』なんて、本当に子供の戯れことかな(汗)

●2009年02月08日(日)



件の『牡丹』小紋

●2009年02月07日(土)

      打合せ・・・


 数日前に衝撃的なニュースを、デザイナー芝崎るみさんから聞いて
鳥肌実状態。『欲しがりません!勝つまでは。』なんて
京都駿台予備校時代、国語の田中先生から幾度も教えられた
ことだけれども、ここ数日は頭がすっかり昭和30〜40年代に戻るか
安土桃山に行くかで、なかなか今日もエキサイティングな図案を見せて
もらい、ますます世情からかけ離れた呉服屋だわ!と思う。

 いつも何かしら自分の中でテーマをもって、芝ちゃんに話したり
提案したりするのだけれど、彼女の持って来たテーマも、
僕が秋にむけてやりたいことも、中々手強そうで、いやーこれは
しっかりと勉強しないと!

 昨年から『月』を追っかけて来て、この世界天文年にふさわしい企画だと
あれこれ考えているうちに、何故か日本の安土桃山時代に今は執着している。
ありゃりゃ・・・ますます長いトンネルに迷い込んだようで、
毎日、雑学(苦笑)を頭にインプットしているようだ。
本来、僕はあまり深すぎないところが、良さでもあり悪さでもあるけど
いや〜ここに来るとは思わなかったなー!

 あまりに着物の世界に身近な存在だから。

芝ちゃんの持って来たテーマは、昨年の僕が提案した澁澤龍彦のオマージュ
を超えるくらい、突拍子もないものです。正直、笑いがでます。
でも、今日の図案は凄かった!

 緊縛ー若冲ー澁澤龍彦ー????

 見てみたい、関わりたい、知りたいことは本当に沢山あるものです。
所詮、呉服屋ごときが、関わることなんてしれているのですが、やはり
¥1,000のTシャツをうる処ではないのだと思います。

*画像は、昨年発表した澁澤龍彦オマージュ『ドラコニアサロン』


●2009年02月02日(月)

     芝崎るみデザイン 『羽裏&長襦袢』


受注生産いたします。

実際の白生地に染め見本がありますので、手触りも含め
ご確認頂きながら、羽裏または長襦袢に染めさせて頂きます。

2003年に神楽坂での、デジタル浴衣展『呉服なか志まや』
2005年に京都での、デジタル羽裏、長襦袢『呉服なか志まや 西へ』

二つの企画展は、ゴトウヒロシ、岡 達也両氏をメインのデザイナーとして
彼女は様々なサポートをしてくれましたが、今回は
彼女のテイストが炸裂しております。

それもかなりリーズナブルな価格です。
個性的な『うらもの』をお探しの方は、是非、この機会に!