お知らせ

『美しいキモノ 2020年秋号・ハースト婦人画報社』別冊付録、東京『頼りになる』呉服店

『美しいキモノ 2020年秋号・ハースト婦人画報社』 が発売され、別冊付録、東京『頼りになる』呉服店で、弊社・麻布 なか志まやを取り上げて頂きました。これからも呉服を愛して下さる方にとって、少しでも良い品をご提案出来るように精進して参ります。掲載して頂き誠にありがとうございました。

また今回の号は、<杉本博司さんと『ぎをん齋藤』の仕事>という、私にとって個人的に非常に興味深い特集記事がありまして、思わず購入して熟読しております。

現代美術作家の杉本博司さんと『ぎをん齋藤』七代目当主・齋藤貞一郎さんの作品作りは、染織家・志賀松和子さんから良く聞いており、今回のこの摺箔屏風の事も聞いておりました。一度、齋藤さんに会いに行きなさい!と志賀松さんから言われながら、畏れ多くて中々会いに行けない小心者の私ですし、このコロナ禍では益々難しくなっています。

杉本さんが、齋藤さんの処で見かけた志賀松和子さんの白生地に惚れ込んで、以前より染織作品を作られ際に、彼女の白生地を使われている事は知っておりましたが、この特集では『杉本好み』のきものと帯というページがありまして、初めてその作品を拝見出来ました。

訪問着 志賀松 桃山縫 草花

志賀松和子さんが糸を挽き織った白生地が使われいることの説明があります。着物のタイトルにも彼女の名が。これは、白生地の布の力に対する呉服屋の敬意が顕われている証拠です。わたしもこうでありたいです。最後の驚く程の軽さですの一文はよく分かります。

先染めの彼女の作品は、なか志まやのみで取り扱っており、様々なタイプをこれまでも発表させて頂きましたが、染め下の生地としての彼女の布が、どういう風に変化したか、齋藤さんの作品に触れた事はありません。ただ紙面からでも、その佇まい、布目、染め上がり色から、只ならぬものを感じ取れます。

次のページには『魅せられた二人』というタイトルで、橋本麻里さんが文を寄せられています。以前、橋本さんから『東京の父親』と杉本さんの事を聞いておりましたが、同じ呉服屋の主人として、『私もこういう業界を越えて何かを作り得る関係』に憧れます。お二人とも超一流同士ですので『本物」が仕上がってきます。

自分の器量・経験・知識がぶつかり合っているのでしょう。試される訳です、お互いに。そう考えると自分は足元にも及ばないとがっかりしてしまうのですが、私は齋藤さんとは違う方法で、志賀松さんの作品を世に出させて頂いています。ただこの一点のみですが、力及ばずとも、自分の美しいと想う筋を必ず一本通して、あとは柔軟に彼女の作品に関わって行きたいと決意させてくれる、そんな今回の『美しいキモノ』でした。

志賀松さんの白生地による訪問着が本誌で紹介される事は知らなかったのですが、別冊付録では志賀松和子さんの作品をなか志まやのページで紹介させて頂きました。ご興味のある方はご覧になってみてください。

そして、やはり、印刷では少し色が変わりますし、その張り軽さ、そして艶などは、是非、実物の布を触って感じて頂きたいと願っております。